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税理士コラム

最後はやっぱり人です2016年08月01日

 あくまでも私の経験知なのですが、飲食店や美容室のように多店舗展開により事業拡大を目指す業種においては、ある一定の法則があるように思うのです。
 それは、3店舗目までは順調に売上を伸ばし利益も確保しているのに、4店舗、5店舗と出店を進めるにつれて、経営者の思いとは裏腹に赤字が累積し黒字店舗の利益を食いつぶしてしまう、というものです。
 『3店舗目の見えない壁』とでも呼ぶべき実例を、企業様とのお付合いの中で何度となく体験する中で、どんなに素晴らしい経営者でも、一人の経営管理能力には限界がある、つまりは自身の目が行き届かなくなる、という現実に直面してまいりました。

見えない壁の正体

 つい先日も、この1年余りで8店舗の飲食店を展開するまでに急成長したA社長が話された「最近少しバランスが良くないんです」、という一言が心に引っ掛かりました。「バランス?」と尋ねてみると、A社長曰く、「各店舗のスタッフがなかなか自分の思い描くように動いてくれないんです。最後はやっぱり人ですね……」、と。
 これは正に『3店舗目の見えない壁』だ!そう思いました。『3店舗目の見えない壁』の正体は、実は『人材の壁』なのです。つまりは、多店舗展開を成功させるための最大のポイントが優秀な人材の確保・育成にある、ということです。店舗経営を任せられるだけの自身の右腕、左腕を何人作れるか、成功はそこにかかっています。それができなければ、自身一人で目が行き届く範囲(それが3店舗までというのが私の持論)で、経営すべきなのかもしれません。
 スピード感や先見性をお持ちのA社長は、いち早くこの点にも気付かれ、飲食業界大手の人材育成セミナーに積極的に参加されノウハウ習得を実践されているようです。

パート社員は補助者ではない

 私ども会計事務所業界も「人がすべて」、と言っても過言ではありません。企業様に満足度の高い税務会計サービスをご提供するためには、最後の最後は人にかかっています。
 一方では、その「人」の入れ替わりが多い業界であることも事実です。お客様から「また担当が替わるの」、この手のクレームは会計事務所の宿命ともいえます。人が辞めても、可能な限り同じ品質のサービスを維持しご迷惑をかけずに済ませたい、これは永遠のテーマなのです。
 そこで私どもでは、多様なスタイルの人材活用を実践しております。現在、正社員以外の重要な戦力であるパート社員、業務委託契約の在宅スタッフが多数在籍しております。パート社員は勤務日数や時間的な制約があるだけ、在宅スタッフは介護や子育て等の理由で出勤できないだけ、人材としては正社員と比べて全く遜色がありません。中には、正社員以上の税務会計スキルを持っている方も少なくありません。

パート社員の管理職誕生

 現場において、パート社員や在宅スタッフのビックリするくらい優秀な仕事ぶりを見るにつけて十二分に戦力となることを確信すると同時に、さらなるスキルアップに取組もうと考えております。
 その一環として、パート社員の人事考課を始めたところです。例えば、飲込みの速さ、確実・丁寧、スピード、決算までの習得見込み、機転、積極性、協調性、シフト協力度等、様々な角度から評価し、個別面談を通して、良いところを褒めたり、逆に改善点を指摘したり、さらには、3カ月目標を設定し育成を図っております。ちなみに、この考課表を作成し、面談しているのは週3日勤務のパート社員で、彼女は現在、パート社員・在宅スタッフの管理育成や業務品質を管理する部署のマネージャー、いわゆる管理職として活躍しております。
 このように、正社員、パート社員、在宅スタッフと、働く形態に違いがあるというだけで、任せる仕事、処遇等は全く区別していません。今後ますます戦力化に力を入れ、安定した税務会計サービスが実現できる体制を構築して行きたいと考えております。すべては、良い仕事をしてお客様に喜んでいただきたい、その一心から。

代表社員・税理士 佐藤 修一

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