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税理士コラム

成功者になるための法則その1-2~お洒落の神髄~2018年12月25日

 前回号では「成功者になるための法則その壱」と題し、様々なエピソードをもとに、「お洒落であり続けること」についてお伝えさせていただきました。今回号は、「成功者になるための法則 その弐」として、「健康であり続けること」をテーマにお伝えする予定でしたが、前回号では尽きてしまったため、お洒落がもたらす効用、換言すれば、お洒落の神髄について、深く踏み込むことができませんでした。
 したがって、本稿では「成功者になるための法則 その壱の2」として、お洒落の神髄についてお伝えさせていただきます。

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筆者が今夏履いているプーマのピンクのスニーカーと、
ポール・スミスの水色のエスパドリーユ。

TPO型と自己コントロール型

 人間とお洒落の関係について考えるとき、私は大別して2種類のタイプが存在すると思います。それは、「TPO型」と「自己コントロール型」というものです。
 まず、「TPO型」について説明します。これは、出勤する際にはスーツにネクタイ、就寝前にはパジャマ、休日の外出にはカジュアルウェアといったように、その時々のシチュエーションにより服装を選定されるというタイプの方です。ここでいうところのシチュエーションによる服装の選定とは、いわば世間一般の常識と同義です。「TPO型」のタイプの方は、主体性は少なく、盲目的にシチュエーションにあった服装をし、お洒落の本質に自分でも気づいていない場合が多いのです。

主体的選択の意義

 後者の「自己コントロール型」の方は真逆です。スーツに袖を通し、ネクタイを締め、靴を選ぶことにより「ビジネスモード」へと、パジャマを着ることにより「就寝モード」へと変わるのです。服装という一種の「形」を主体的に選択することによって、自らをある種の「モード」に持っていくタイプの方です。
 つまり、ビジネスシーンで同じくスーツを着ていたとしても、就寝前にパジャマを着ていたとしても、「TPO型」と「自己コントロール型」では、そこに至るまでの心持ちのみならず、日々の物事の捉え方がまるで異なるのです。

心のコントロールは難しい

 人間というのは感情の動物です。したがって、気分の浮き沈みにより、いかようにも変わってしまう弱い存在です。思い起こせば、40年間税理士として数多くの経営者の方々と接してきましたが、どんなに素晴らしい方でも、24時間365日、いつも平常心を持っている方などいらっしゃいません。それは人間である限り無理に決まっているのです。
 一年を通じて春夏秋冬があるように、世の中も、人間の心も無常なのです。良い時もあれば、悪い時もある。それを、精神力、つまり言い換えれば意思の力によって、コントロールするのは、ものすごく難しいものなのです。
 調子の悪い時に、「落ち込むな。気力でカバーしろ」と鼓舞したとしても、逆に追いつめてしまい、どうにもならないことも多いのです。

「形」で心をカタチ作る

 では、どうしたら良いのか。私は「形」が一番有効だと考えています。つまり「お洒落」をして自分の望む「モード」に主体的に持っていくことにより、「形」でもって心の状態をコントロールするのです。
 たとえば、Zさんという70歳の経営者がいたとしましょう。Zさんは、「まだまだ若々しく、エネルギッシュでありたい」と願っています。だとしたらZさんは、「70歳なのに、まだまだ若々しく、エネルギッシュだな」と他者に言わしめるような「お洒落」をすればいいのです。ここで最も大切なのは、他者がZさんに対して「若いですね」「エネルギッシュですね」と、実際に言葉に発して伝える状況にまで持っていくことが肝要なのです。
 なぜ、他者に言わしめることが大切なのか。Zさんは、自分では若いつもりでいても、潜在意識下では「年齢に負け、老いていく自分」というネガティブな思いが渦巻いているのです。そのネガティブな感情を、顕在化した言葉で、つまり他者からの「若いですね」「エネルギッシュですね」という言葉の力で消し去ることが重要なのです。すると、自然に自分という存在がそのようになっていくものなのです。
 逆に、巷間言われるように、定年退職された方は一気に老け込んでしまうことが多いのが現実です。それは、突き詰めれば、自己を見る他者がいなくなってしまったからに他なりません。その証拠に、他者にみられる仕事の代表格ともいえる政治家は、どれだけ年を重ねても、ギラギラしています。

意外性の必要性

 話が少しそれましたが、他者にファッションを通じて、自分の望む姿を口に出してもらうのは、並大抵のことではありません。いわゆる世間一般でいうところの、つまり「TPO型」の70歳なりのお洒落では、世間一般の常識的なものとなり、Zさんの望む「若さ」「エネルギッシュさ」には程遠いものになってしまいます。
 したがって、極端なくらいのメリハリが必要になるのです。前回号で開業したての私に対して、Sさんが「60歳を過ぎたらベンツではなく赤いスポーツカーに乗り、まだまだ若くバリバリだとアピールするんだ」とアドバイスしてくださったエピソードをご紹介いたしましたが、このようにお洒落には、もっと言えば、お洒落を他者から認めてもらうには、一種の意外性が大切なのです。
 これは最近になって気づいたのですが、意外性が最も顕著に表れるのが、オフの際のカジュアルファッションです。先月、ピンクのスニーカーとピンクのズボンを買いました。これまでスーツ一辺倒だったこともあり、カジュアルウェアの買い物は非常にエキサイティングでした。そして、わが社では、先月より、毎週金曜日に限り、「カジュアルファッションデー」を定めることとしました。
 このように「お洒落」には仕掛けるエネルギーと、勇気と、行動が必要ですが、その日々の積み重ねで、「こうありたい自分」が形作られていくものなのです。

自らを鼓舞するために

 前回号でもお伝えしたように、私は自称「49歳」です。あと30年は現役で闘い続けるために、先月よりロレックスの金時計をつけ始めました。これは私が35歳の時、Sさんという方からのアドバイスにより、購入したものです。故郷である福島県いわき市に税理士事務所を開業して、7年ほどが過ぎた頃でした。
 Sさんは、愛煙家でした。紫煙がこもる夕方の事務所で向かい合いながら、Sさんは言いました。
「野本君、君は税理士だ。つまり経営者と会う仕事だよな。人間と人間は、年齢も立場も関係なく、あった瞬間に関係性が決まってしまうものなんだ。だから、絶対に相手の迫力に気おされてしまってはダメなんだ。圧倒されたらそれでもう負けなんだ。だから、『これだけは負けない』という武器が必要なんだ」
 一気にそこまで言い終えると、新しい煙草に火をつけました。
「俺の場合は、これだけどな」
 そう言いながら、デュポンの銀色のライターを差し出してきました。掌で受け取ると、ずしりと重厚感があったことを今でも覚えています。Sさんは、再びライターを手にとると、何度も蓋を開け閉めしました。蓋が閉まるときの「パチン」という、澄んでいて、透明な、それでいてキレのある音がこきみよく響き渡りました。そして続けました。
「俺は、これなんだ。君は煙草を吸わないからわからないかもしれないけど、このライターはちょっとしたものなんだ。相手が誰でも、俺はこれを握りしめれば、自分が奮い立つんだ。だから、何かひとつでいいから、一点豪華主義でいいから、絶対に負けないものを身に着けるんだな。自分自身を奮い立たせるようなものをな」
 そして、私は当時としては相当無理をして借金をし、250万円でロレックスの金時計を購入しました。これも60歳になったら赤いスポーツカーに乗ることと同じです。普通、35歳の若者がロレックスの金時計なんてつけないものです。

  その後東京へ進出し、売上30億円を超えたこともあれば、逆に24億円もの借金を背負ったこともありました。紆余曲折、波乱万丈の経営者人生の中で、この腕時計はいつも私を鼓舞してくれたものです。
 しかしながら面白いもので、借金が減るにしたがって、いつしか時計をしなくなりました。携帯電話やパソコンが普及し、いつでもどこでも時間を確認できるということもありましたが、無借金になったら、いつのまにか時計をしなくても平気になったのです。

お洒落は単なる着飾りではない

 それで、先述したように1ヶ月ほど前から、まだこれから30年は闘おうと決意し、15年ぶりに時計をしてみたのです。そして、腕時計の本当の意味が、腑に落ちるようにしてわかったのです。闘う男にとっての腕時計は、時間を見るものでは決してなく、武器であるということが。
 腕時計は、武器であり、勲章なのです。そもそも勲章とは国家や元首が個人に対し、その功績や業績を表彰するために与えるものですが、日本語においては転じて、ある個人が自ら誇りとしている人生の出来事や仕事のことを「勲章」と称したりします。その意味においても、時計は武器であるとともに、ともに人生という時を刻む同志であるからこそ、勲章なのです。
 前号の文末で記させていただいたように、私はその日の予定や気分にあわせ、スーツを選び、Yシャツ、ネクタイとあわせ、帽子を選びます。そして、腕時計をし、闘うモードに持っていき、最後に、全身にあわせた靴を決めるのです。
 私にとってのお洒落とは、このように「形」でもって楽しみながら理想の自分をつくりあげていくものなのであり、単なる着飾りでは決してないのです。

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35年前に買ったロレックスの金時計。

  前回号に引き続き、「成功者になるための法則」のひとつとして「お洒落」を取り上げてきました。次回号以降では、「そもそも成功の定義とは何なのか」についてお伝えします。そして、「お洒落」以外の条件である「健康」、「お金に対する考え方」、「人付き合い」について随時、お伝えしていきます。

 創立者 野本 明伯

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