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税理士コラム

日新、日日新2018年08月21日

 毎朝、出勤の身支度をした後、ある言葉を唱える習慣がここ3年ほど続いております。中国の古典『大学』伝二章にある、殷時代の湯王(とうおう)が言い出した言葉で、「苟日新、日日新、又日新」(まことに日(ひび)に新たに、日々(ひびひび)に新たに、また日(ひび)に新たなり)というものです。
 実は、この難しい書物を読んだわけではなく、たまたまインターネットで日本経済新聞「私の履歴書復刻版・土光敏夫(1)」を読んでいた時、その冒頭にあったのが、この言葉でした。
 土光さんは、石川島播磨重工業社長、東芝社長・会長を歴任。経団連第4代会長として、日本経済の安定化や企業の政治献金の改善に尽力。昭和56年に、鈴木善幸首相に請われ第二次臨時行政調査会長に就任すると、増税なき財政再建、特殊法人の整理・民営化などの路線を打ち出し、ミスター合理化として辣腕を振るいました。妻と二人きりで摂る夕食のメザシと玄米のインパクトが大きく、「メザシの土光さん」としても親しまれた。

※殷……考古学的に実在が確認されている、紀元前17世紀頃の中国最古の王朝

この歳になって分かる

 大学生の頃からその人間性のファンであったこと、文中で私の最も好きな言葉と断言していたこともあり、一瞬で好きになり覚えました。
 土光さん曰く、「今日なら今日という日は、天地開闢(かいびゃく)以来はじめて訪れた日である。それも貧乏人にも王様にも、みな平等にやってくる。そんな大事な一日だから、もっとも有意義に過ごさねばならない。そのためには、今日の行いは昨日より新しくよくなり、明日の行いは今日よりもさらに新しくよくなるように修養に心がけるべきである」という意味。
 今ではすっかり暗記し、唱えるたびに、一つひとつの語句の持つ意味の奥深さを実感しております。50歳を超え、弊社に身を置いて24年が過ぎた時、その絶妙なタイミングで出会ったからこそ、私自身の心にストライクだったのかもしれません……。

元気が湧き出す

 毎朝、唱えてから出勤はするものの、仕事の中でそれを実践するとなると、凡人以下の私にとりましては、なかなかうまくいきません。反省、反省の繰り返しです。
 「私の履歴書」の中で、土光さんは、こんなことも話されております。
 私もこれを銘として、毎朝、「きょうを精一杯生きよう」と誓うのだが、凡人の浅ましさ、結果としてはうまくいかない日の方が多い。
 しかし、少なくとも「この一日が大事である」という思いだけは自覚しているつもりであるし、しくじった時は、その日のうちに反省して悔いを翌日に持ち越さないようにしている。その区切りとして、毎朝と毎就寝前、2、30分、お経を読む。
 つまり、それでしくじりをカンベンしてもらうわけである。そうすれば、安眠でき、悪い夢も見ない。次の日、スッキリして仕事に取りかかることができる、と。
 あの土光さんが、自身を凡人(?)の浅ましさ、うまくいかない日の方が多い……、なんだかホットして、元気が湧き出してきます。

27年、まだまだです

 人間誰しも、その日一日一日のミッション(使命)が必ずあります。そして、一つひとつを確実にクリアし、クリアできなくても反省し次にまたチャレンジし、その過程の中で成長して行くものと信じております。
 弊社の朝礼は、社訓・三大信条・NMC指標の唱和で始まります。三大信条の一つに、「私達は自利利他の精神に基づき自己錬成に励みます」という一節があります。一日一日を精一杯生きること、ミッションを一つひとつクリアして行くこと、それが自身の成長のため、ひいては他人、つまりはお客様のためになる、ということなのです。
 同じニュアンスのことを、イチロー選手(毎日毎日の小さな努力の積み重ねの結果、他の選手より高い次元に到達することができている)や宇宙飛行士の若田光一さん(その日その日のミッションが必ずある、それを一つひとつクリアして行く)も、話されていたことを思い出しました。
 会計業界に身を置いて、早や27年。いや、まだ27年。これからも、自利利他の精神で、自分磨きに貪欲に取り組んでまいります。

代表社員・税理士 佐藤 修一

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