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税理士コラム

正しい相続の仕方をサポート2015年01月01日

年末年始から、様々なメディアで相続税増税のニュースが盛んに報じられております。今回の増税で、最高税率が50%から55%に引き上げられ、日本の相続税は名実ともに「世界一高い相続税」になりました。ご参考までに、相続税率等の国際比較をご覧ください。

〔相続税がある先進諸国の最高税率比較〕
・日本   最低税率10% 最高税率55%
・イギリス 一律40%
・ドイツ  最低税率 7% 最高税率30%
・フランス 最低税率 5% 最高税率40%

〔相続税のない国〕
香港、シンガボール、マレーシア、タイ、スイス、カナダ、オーストラリア、イタリア等

世界的に見れば、相続税は廃止や減税の方向に進んでいるのが現状です。ところが、このように日本だけが増税に向かうと、一昨年の所得税の最高税率の引き上げで税負担が増している「富裕層」は、ますます重税感を募らせ、国内の資産を海外にシフトして保全する動きを加速させるのではないでしょうか。

資産家だけの悩みではない

一方では、相続税の免税点である基礎控除額を引き下げることで、相続税のかかる人を増やす改正も併せて行われました。

【基礎控除額を引き下げることによる増税】
改正前の基礎控除額 = 5000万円 + 1000万円 × 法定相続人
改正後の基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人

⇒法定相続人が妻と子供1人の場合、従来は遺産総額が7000万円までは非課税でしたが、今後は預貯金や不動産などを合わせた遺産総額が4200万円を超えると相続税がかかることになります。
(※基礎控除額の引き下げ及び最高税率の引き上げは、平成27年1月以降に発生した相続から適用になります)

今後相続税は一部の資産家だけの悩みではなくなり、地価が高い東京国税局管内では、持ち家の庶民の多くが納税を強いられ、相続税の申告が必要なケースが全体の半数になる、との試算もでています。

ある母娘からの相続相談

私の脳裏に、都内在住のある母娘の顔が浮かびました。ちょうど相続税増税が税制改正の俎上にのった2年ほど前、次のような相談を受けた記憶があります。
『母一人娘一人で、お母様は都内に自宅と賃貸用マンション2部屋を所有されているとのこと。相続税増税に伴い、母からの相続にかかる税金の支払いのことが気がかりな娘さん。一方、お母様はといえぱ、先祖代々今まで無事に引き継いできた自宅を娘さんに確実に相続できるのか、税金が払えず手放すことになりはしないか・・・』
この時、私どもがご提供した税務サービスは、お母様の相続財産の簡易現状分析・診断業務といった、いたってシンフルなものでした。
〔簡易現状分析・診断業務の内容〕
1.お母様所有の土地家屋の相続税評価額の算出
2.お母様所有の現金預金、有価証券、生命保険金の相続税評価額の算出
3.3ハターンの相続の仕方と相続税額
 a 娘さんが全ての財産を相続した場合
 b 娘さんとその子供達が財産をそれぞれ相続した場合
 c 子供達が養子縁組をし、娘さんとその子供達が財産をそれぞれ相続した場合
結果報告を聞かれたお二人は、「これでスッキリしたね、払えない相続税額でもないし・・・」、と一安心のご様子でした。

簡易現状分析・診断のススメ

将来の相続税がご心配であれば、相続財産の多少に関わらず、まずはご自身の相続財産の現状を正確に把握することから始めてみてはいかがでしょうか。誰に、どの財産を、いくら引き継ぎたいのか。そして、現在、5年後、10年後、20年後に相続が発生したときの相続税をシミュレーションする。
その結果、現状のままで問題がなければ、大きな安心を得ることができます。逆に、大きな問題を早期に発見できれば、ゆっくりと時間をかけて最善の相続税対策を実行することができます。さらに付け加えるならぱ、相続税対策は、それを専門とする税理士をフル活用することで、さらなる効果を生み出します。
単に税額を減らすだけではなく、「皆様の愛するご家族が本当に幸せになる相続の仕方」を、親身になってアドバイスしていくこと、それが私どもの使命であると考えます。

税理士 佐藤 修一

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