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在宅勤務という宝物

2017年01月01日

 行きつけの喫茶店でコーヒーを飲みながらふと新聞に目をやると、1面トップに次のような記事が載っていました。

『在宅勤務 定着へ制度充実 人材つなぎ留め
 味の素、管理職に義務付け/川重、全職場の総合職で

 優秀な人材の確保などを狙い、多様な働き方を認める企業の動きが加速している。味の素は本社の全社員を対象に、在宅勤務制度を2017年4月に導入。管理職は週1日の利用を義務化する。川崎重工業も17年度中に在宅勤務を総合職全体に広げるほか、時間当たりの成果を重視するなど人事評価も見直す。年間の介護離職者が10万人を超えるとされる中、社員の仕事と育児・介護との両立を本格支援する。
 味の素と川崎重工は管理職が率先して取り組んだり、評価項目に盛り込んだりして、社員の活用を促す。(後略)
 在宅勤務は場所に縛られない柔軟な働き方を意味する「テレワーク」の一種で、10年代に入り導入企業が増加。だが、国土交通省によると日本で週に1日以上、終日在宅で就業する人が全労働者に占める割合は15年で2.7%と、欧米の10~20%より少ない。政府は20年にこの割合を10%以上に高める目標を掲げる。(2016年11月28日付日本経済新聞より抜粋)』

足かけ5年のチャレンジ

 「方向性は間違っていない」、と確信しました。既に弊社では、在宅勤務制度を2011年から導入し試行錯誤の末、新たな働き方の一つとして定着しています。在宅勤務社員は、毎月1日と月末、定例会議、定例税務研修など会社が決めた出社日時とお客様対応日以外は、原則自宅で業務を行います。また、約30名の業務委託契約の在宅スタッフに至っては全く出社せずに、会計データの入力・チェック業務などを担っております。
 双方とも、自身の置かれた生活環境に合わせて上手く時間管理を行い、快適に仕事を進め生産性の向上に寄与しています。弊社としても、年月を費やして育成した本当に優秀な社員の流失を防ぎ、育児・介護といった理由から出勤できない素晴らしい会計スキルをお持ちの潜在的な労働力を有効に活用し継続的に確保することができるという点で、大変魅力的な働き方であり、今後ますます推進して行こうと考えております。

インフラが追いついた

 実は、この取組み自体今に始まったことではなく、20年ほど前に創立者の野本が弊社独自の会計ソフトCASH RADARに「在宅勤務」メニューとして世に送り出していたものでした。
 いかんせん、インターネットの影も形もない時代、その発想が早すぎたせいもあり、在宅勤務を可能にするためのインフラが追いつかず、日の目を見ることはありませんでした。また社会的にも、出勤をせずに働くというスタイルでは、「上司や同僚に迷惑がかかるかもしれない」と考えて、それを良しとしない風潮があったように思います。
 しかし現在では、iPadに代表されるタブレットPCの急速な普及に伴い、場所や時間を全く気にせず会社にいるのと同様に仕事ができます。一方で、管理監督をする会社側も、何ら不自由を感じ得ません。

最適スタイル

 日々経営者様とお会いする中で、「人が採れなくて困っているんだ……」、という話しを業種問わずよく伺います。今後、ますます少子化が進んでいく中で、就職売り手市場になることは否めません。
 昨年は、弊社も人手不足を痛感し、43年間の社歴の中で初めて派遣社員の活用を試み、そのうち2名を正社員に迎え入れました。正社員、契約社員、パート社員、業務委託契約の在宅スタッフ、派遣社員など様々な雇用形態があります。そして、在宅勤務という会計業務にはピッタリの働き方にも追い風が吹いてきました。
 この二つの組合せが、会計業界において働き方に変革をもたらすと共に、その効果たるや無限大の可能性を期待させます。お客様企業への税務会計サービスの安定的なご提供と品質維持、会社にとっては優秀な人材のつなぎ留めによる人手不足軽減、社員・在宅スタッフにとっては自身のスキルを永続的に活かせる仕事の確保、まさに「Win-Win」の関係といえるのではないでしょうか。
 在宅勤務という宝物を授かったことに深く感謝し、さらなる進化を求めて、磨きをかけてゆく所存です。

代表社員・税理士 佐藤 修一