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税よもやま話 第25回 印紙税調査(その二)

2015年08月11日

過怠税

印紙税調査の結果、課税文書の作成者が印紙の貼り忘れ等により、納付すべき印紙税を納付していなかった場合、どれだけの罰金(過怠税)が課せられるかご存知でしょうか。なんと、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。ただし、調査を受ける前に、自主的に納付していなかったことを申し出たときは『印紙税不納付事実申出書』を提出することで過怠税は一・一倍に軽減されます。また、「貼り付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。

印紙税について知っておくべきポイント

⑴印紙税とは
通常の取引では多数の文書を作成しますが、様々な文書のうち印紙税法で定められた文書を発行する時に課税される税金です。印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。
①印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている二十種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
②当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
③印紙税法第五条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
課税対象の文書は二十種類あり、それぞれに印紙税の金額が変わります。収入印紙代は経費として計上可能で、勘定科目は租税公課、又は公租公課になります。
⑵印紙は対象文書に貼付し、消印を押すことで納税になる
文書の作成者が、収入印紙を購入し文書に貼り、消印を押すことで納税になります。この納付方式を自主納付方式と言います。
⑶印紙の金額が多すぎたり、貼らなくて良い文書に貼った場合は還付が有る
収入印紙の金額が多すぎたり、貼らなくて良い文書に貼付、又は貼付した文書を使用しなかった場合など誤って納めた印紙税は、「印紙税過誤納確認申請書」を提出すれば、税務署で還付を受けることができます。
⑷印紙を貼らなかった契約書等の文書は法的に有効か?
法律的には印紙が貼っていなくても有効です。収入印紙の貼付は税法上の問題です。

印紙税の節税

課税対象の文書でも、収入印紙を貼らなくても良い場合や金額を低く出来る場合があります。印紙税は発行された文書にかかる税金です。つまり取引先との契約内容をデータ上だけで合意し、契約書を発行しなければ印紙は不要です。また、5万円未満の領収書に関して印紙税は非課税です。領収書を受け取る側の了承を得られれば、1枚の領収書が5万円未満になるように複数に分けることにより節税することも可能です。
⑴クレジットカードでの支払いの領収書(クレジットカード利用)
領収書で収入印紙が必要なのは現金等を受領した場合です。クレジットカード払いの領収書には印紙を貼付する必要はありません。この場合、領収書に「クレジットカード利用」を明記します。
⑵銀行振込で入金してもらう
銀行振込の場合は、口座に振込記録が残るため通常は領収書を発行しません。
⑶相殺領収書
相殺する取引の時に発行する領収書も、現金が動かないので必要有りません。この場合も、領収書に「相殺にかかるもの」と明記します。
⑷契約書の作成は1通にして、もう一通は「単にコピーしたもの」を使用する
契約書の正本を2通作成すると、2通に印紙税がかかります。正本を1通にし、正本を複写機でコピーしただけのもので、署名若しくは押印又は証明のないものは、単なる写しにすぎませんから、課税対象とはなりません。
⑸消費税を分けて記載する。
領収書や契約書の金額のうち、消費税額をわかるように記入すると、税抜価格が課税の対象になります。
例:金額 ◯◯◯万円(うち消費税額 ◯◯万円)

これらは、いずれもかなり地味な節税方法ですが、ちりも積もれば山となるかもしれません。(了)