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私どもの共通言語

2014年10月01日

先月号の弊社代表の野本のコラムで紹介されていたクリニックを、私も一緒に見学してまいりました。

26年間の会計事務所経験で、2000名を超える経営者様に出会ってまいりましたが、その経営内容の秀逸さはもちろん、院長自身から湧きあがるエネルギーの勢い、桁外れの豪快さ、ユニークすぎる遍歴など、間違いなく私の記憶に残る一人といえます。今後、このクリニックがどこまで成長発展し続けるのか、医療業界にあってどのように進化してゆくのか、大変革を巻き起こしそうで興味津々です。

今回の見学を通して、現場に身を置く私といたしましては、ある一つのことに大変驚きを覚えました。それは、「患者様のカルテの内容を、医師以外の全てのスタッフ様が読み取れるレベルにまで教育されていた」、ということです。中には、カルテに記載された診断結果に対して、担当医師に意見することができる方もいらっしゃるとのこと。

試算表が読める

スタッフの皆様が受付業務をされている時、患者様の病状を聞きながら次回診察の予約を入れている時、診療報酬のレセプト請求事務をされている時など、その患者様のカルテの内容を理解したうえで各業務に臨んでいるのかと分かった瞬間、このクリニックの医療サービスが、本当に患者様目線で質の高いものであることが想像できました。

これを、そのままNMCグループに当てはめてみると、こうなります。私どもは、42年前に代表の野本が創業した会計事務所であり、それをベースにして、会計ソフトの開発・販売や全国の会計事務所様の経営のご支援をさせていただいております。

そう考えると、帳簿チェックや決算申告業務を行う会計スタッフはもとより、会計ソフトの開発スタッフ、その利用者様をサポートするコールセンターのスタッフ、会計事務所様の経営のご支援をするスタッフ、その全員が、「貸借対照表と損益計算書(いわゆる試算表)が読めるようになる」、そのうえで各部署のサービスを提供することか、と。

新たな付加価値の創造

そこで、善は急げ、NMCグループでは全社をあげて、9月1日から1年計画で、税務会計に関する特別研修をスタートさせました。この研修は、既存の社員と今後入社する社員全員が対象で、毎週月曜日から木曜日の就業時間終了後、1時間半程度の時間を割いて行っております。

この研修の目的は、「税務会計データを読み取り、お客様企業に説明・提案ができる社員になる」、という一点。そして、それをベースに各部署の仕事に取り組むことで、サービスによりいっそう深みを増し、満足度を高めてゆく。さらには、新たに付加価値を生みだすことにあります。

まずは1ヵ月目が無事終了いたしましたが、就業時間外であるにもかかわらず、教える方も教わる方も真剣そのもの。参加者の税務会計レベルはまちまちですが、鋭い質問が飛び交っていました。ある開発担当スタッフは、「会計データから、これ程までにリアルに企業様の取引活動の実態や経営状態が読み取れるものなのか」、と驚いておりました。

一段高いステージに立つ

私どもにとって「カルテが読める」ということは、中小企業様の財務内容や経営成績をありのままに数字で表す試算表の内容を正確に読み取り、その内容を税務会計の知識のない経営者様に専門用語を使わず分かりやすく説明・改善提案ができることを意味します。そのレベルに到達することが、今回の特別研修のゴール、つまりは、NMCグループの共通言語をマスターすることなのです。

1年後、全スタッフがこの共通言語を身につけ、一段も二段も高いステージから、今までにない視点・感覚で、お客様である中小企業経営者様や会計事務所の所長先生・会計担当者様と相対している姿を想像すると、何だかワクワクしてきます。

ちょっと長丁場の研修になりますが、必ずや、お客様の成長発展に貢献できる真のサービス提供に直結するものと信じております。それと同時に、NMCグループのスタッフが、より一層輝きを放って業務に邁進していることでしょう。

税理士 佐藤 修一