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時代にマッチした業務スタイルの創造

2014年06月01日

先月末、「先生の事務所で関与されているM様個人の税務調査に伺いたいので、日程調整をお願いします」という連絡が入りました。
最初思ったのは、なぜM様個人に調査が入るのか、なぜ税務署が人事異動で忙しいこの時期にわざわざ来るのか、もしかしたら、私どもの知らない情報を何か握っているのか……。

6月上旬に実施された今回の調査は、結局のところ、半日の現場調査のみで無事終了し、何の問題もありませんでした。種明かしをすると次のような顛末になります。
昨年、M様は個人名義で数億円の自社ビルを購入し、賃貸事業をスタートさせました。初年度ということもあり、年間の家賃収入をビルの購入金額が大きく上回ったために、約300万円の消費税の還付を受けていました。ここまでは良かったのですが、4月ごろM様個人宅に税務署から郵送されていた「消費税還付申告の内容についてのお尋ね」文書を紛失し、回答しないままになっていたのです。

調査が入った理由は明白で、「お尋ね文書に対する回答が何も無かったため、上司の指示で還付内容の詳細確認にまいりました」と、調査当日に開口一番言われました。今年3月に確定申告を請負った際に、M様にひと言、「お尋ね文書が届くかもしれない」ことをお知らせしていれば、無駄な時間を取らさずに済んだのにと、反省しております。

こんな調査対応もありなのか

今回の調査立会いを通して、ちょっとした驚きがありました。それは、30代の女性調査官と私どもの担当スタッフが、例えば、不動産売買契約書、ビル内装工事代の請求書やその工事明細書、その他経費の領収書等を、紙ベースの資料ではなく、弊社が持参したパソコンの画面上のデータ化された資料の状態で、当たり前のように確認作業を行っていたからです。

調査の現場においては、総勘定元帳をはじめとして、領収書、請求書、預金通帳、契約書関係、社内議事録等、全て紙ベースで事前に準備し本番に臨むというスタイルが身体にしみ込んだ私にとって、不思議な感覚を覚えた瞬間でした。
わざわざ会計資料を紙で印刷しないでパソコン画面に表示させ、調査官とやり取りをする、「これで十分じゃないか」。26年間もこの業界だけで仕事をしてきた私の頭の中は、「チェックは必ず紙ベースで行う」という固定観念で支配されているのかもしれません。

手付かずのソフト面の変革

会計業界では、紙ベースによる資料の保管、閲覧、チェックが現在においても主流派といえます。それは、私が入社した26年前から、さらには代表の野本が自宅で開業した42年前から、少しも変わっていません。
パソコン会計やインターネット環境等のハード面がこれだけ充実し、十二分にインフラが整った今、会計業界の仕事の進め方、いわゆる帳簿作成やチェック、決算申告、税務調査立会い等のソフト面も、これからの時代に合ったやり方に勇気を持って変革するタイミングなのかもしれません。

大げさかも知れませんが、その先鞭をつけるのが、長年にわたり常に会計業界のトップを走り続けてまいりました弊社の使命であり、この業界にたいする恩返しではないか、と考えております。

調査立会いの新しいかたち

幸いなことに、私どもの事務所には、独自に開発した『CASH RADAR PBシステム』と『私書箱システム』という、42年間の税務会計サービスの実践を通して磨き上げてきた最大の武器があります。

M様の税務調査において、私どもの担当スタッフが調査官に対して各種税務会計資料をパソコン上で提示したのは、まさに『私書箱システム』によるものだったのです。このシステムを活用することで、お客様企業も会計事務所も、重要資料をいつでもどこでも、パソコン、タブレット端末、スマートフォンで自由に閲覧することができます。もう、紙で持ち歩く、紙で保管する、紙でチェックする、そういう時代ではないのです。

タブレット端末の画面に、私ども税務総合戦略室の元国税調査官の税理士が登場し、遠隔で現場の税理士や担当スタッフに指示を出し、あるいは調査官と画面を通して折衝し、調査をよりスムーズに乗り切ることも、決して夢ではありません。

税理士 佐藤修一