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税よもやま話 第11回 更正予知(過少申告加算税)

2014年01月16日

申告納税制度の下においては、納税者の提出した申告書の内容は正確でなければなりません。納税者が期限内に申告書を提出した場合であっても、その後、修正申告または更正処分が行われ、当初の申告税額が結果として過少となったときは、原則として増差税額に過少申告加算税が課されることになっていますが、例外として、その修正申告書の提出が「調査があったことにより、更正があるべきことを予知して行われたものでないとき」には、過少申告加算税は賦課されないことになっています。

更正があるべきことを予知してなされた申告ではないとして過少申告加算税を取り消した事例(昭和57年3月26日裁決)
「更正があるべきことを予知して」とは、課税庁が当該納税申告書に疑惑を抱き、調査の必要を認めて、現実に納税者に対する質問、帳簿調査等の実地調査または呼出調査等により当該申告が適正でないことを把握するに至ったことを前提として、納税者が修正申告書を提出する時点で更正のあることを察知していたことを指すものと解すべきである。しかし、本件においては、原処分庁の調査担当者が電話で調査日時の取決めをした日後2日を経過して修正申告書の提出があり、さらに、その後2日経過した後に調査があった事実などからみて、請求人は、本件修正申告書を提出する時点で、原処分庁がその調査によって請求人の当初の申告が適正でないことを既に把握していたことを察知していたと認めることはできないから、本件修正申告は、国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知して」なされた申告ではない。

確定申告を間違えたとき

法定申告期限後に、計算違いなど申告内容の間違いに気が付いた場合は、次の方法で訂正することとなります。

1.納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合
更正の請求という手続ができる場合があります。この手続は、更正の請求書を税務署長に提出することにより行います。更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をし、納め過ぎの税金があると認めた場合には、減額更正をして税金を還付することになります。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内(※注)です。

(注)平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税については、更正の請求の請求期限は法定申告期限から1年です。なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、増額更正ができる期間内(3年間)に「更正の申出書」の提出があれば、調査によりその内容を検討して、納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正を行うこととなります。

2.納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合
この場合には、修正申告により誤った内容を訂正します。修正申告の際には、次の点に注意してください。

イ.誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告してください。税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかります。この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額です。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。

ロ.新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日に納めてください。

ハ.この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります。

「更正の予知」の趣旨

「更正の予知」による加算税の免除は、以前は政府に手数をかけさせない修正申告の奨励という行政コストを意識した文脈で説明されていました。すなわち、「更正の予知」の趣旨は、納税者の自発的協力による適正税額への修正に対する加算税の免除ということになります。

また、「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うこととされています。

税理士 松井 孝榮