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税よもやま話 第12回 競走馬

2014年03月01日

中山競馬場の近くに住んでいるおかげで、年に数度は馬好きの仲間数人と連れ立って競馬場に足を運びます。一日遊んで酒を酌み交わし、健全な精神状態をキープする。博打も人生には必要。ただしほどをわきまえての上で。

引退競走馬

競馬を観戦していますと、出走中の馬が突然故障することがあります。足を骨折してブラブラさせている馬を何度か見たことがあります。サラブレットは意外と華奢な動物なんですね。
足を骨折した馬はほとんどが再起不能となります。引退した競走馬はどうなるのでしょうか? 日本では競馬に使われるサラブレッドだけでも、年間約8千頭が生産されています。その馬は、どこに行ってしまうのでしょう?

結論から言いますと、ほとんどの馬は寿命を終えることなく、殺処分にされるそうです。引退競走馬が食肉処理される場合があるのは事実です。100%ではありませんが、相当な確率で屠殺されて死んでいきます。
JRAの関連会社に税務調査で伺ったことがあります。巷では馬刺しが流行っていた頃で、何気なく馬肉の話になりましたが、JRAの職員で馬刺しを食する者は一人もいないとのことでした。

日本にいる馬の大多数は競馬か乗馬で使われ、人間のために働く一生を送っています。昔は田舎の街道で荷車を引く大きな馬をよく見かけましたが、私たちが暮らしている日常で、馬の姿というものはほとんど見かけることはなくなりました。

競馬の成績は死活問題

日本の馬の最長寿記録はシンザンという、競馬で活躍した馬の35歳です。何もなければ、馬は30歳まで生きれば大往生といったところです。ところが、実際の馬の平均寿命は10歳前後とされています。馬が競馬で走れるのは6~8歳までです。では、競馬を引退した馬はどうなるのでしょう?

JRAのホームページや、優駿、サラブレといった競馬雑誌には、今月の登録抹消馬というページがあり、引退競走馬の行き先が載っています。
・競馬でよほど優れた成績を残したオスは種牡馬
・まだ力のある馬は地方競馬場
・メスなら繁殖牝馬
・その他は乗馬

繁殖入り(種牡馬・繁殖牝馬)したからといって、牧場が一生面倒を見てくれるわけではありません。競馬のレースで輝かしい記録を収めた馬でも、繁殖として後世に良い子孫を残せなかったり、高齢で繁殖できなかったりすると行き場を失います。
競走馬として大活躍し、ファンも多かったのに、種牡馬として成績がふるわなかったため殺処分された馬もたくさんいます。伝説になるくらいの成績を残し、種牡馬としての役目を終えてもなお功労馬として生き、寿命をまっとうできるのは、先に挙げたシンザンなど、わずか一握りの馬だけなのです。

競走馬の耐用年数考察

税法では減価償却の対象となる資産を「減価償却資産」とし、使用可能期間を耐用年数として、「減価償却資産の耐用年数に関する省令」の別表第一から別表第六までに資産の種類、構造、用途の異なるごとに細かく規定しています。これを「法定耐用年数」といいます。

別表第四には生物の耐用年数が記載されており、[種類]の中の「馬」を見ますと、さらに[用途別]に区分されていて、小運搬使役用6年、繁殖用7年、種付用6年,競走用4年とされているのが確認できます。
平均寿命10歳、大事にされれば30歳生きる競走馬にとって、4年で償却されるのは馬の置かれた厳しい現実をも反映しており、非情なことのようにも思われます。

今年の干支は午

馬と人との付き合いは、馬が家畜化された6千年前からと考えられています。古くから軍用、運搬用、農耕用に使われ、乗馬用、競馬用としても飼育されてきました。また、神様が乗る神馬を奉納する習わしが、馬の絵を描いて代用する「絵馬」となり、板絵に願いごとを書き奉納する「絵馬」の由来となっています。

馬齢を重ねる小生も、今年は絵馬に願い事を書いて奉納しようと思っています。どうぞ「万馬券をお願いします」。

税理士 松井 孝榮