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税理士コラム

顧客情報の管理・活用2016年09月01日

 先月、二人のスタッフが同時に退職いたしました。両名とも企業様を直接担当し、会計データチェックや決算申告業務を担っておりましたので、当然のこと業務の引継ぎが発生することになりました。
 今回の引継期間は約2ヵ月余り、お客様にストレス・不安を感じさせない担当引継ぎを遂行する必要があります。いい機会だったので、全スタッフに向けて定例会議で次のような話をしました。
 『うまく引継げるかどうかは、引継ぐ側に80%かかっている。引継ぐ側は、お客様へ直接お会いしてのご挨拶を徹底したうえで、後任者へ十分な引継を行う。「お客様カルテ・情報」の整備を引継ぐ側がしっかり行い、引継がれる側はそれを確認、またはそれに表れない情報を前任者にヒアリングすること』

また担当替わるの

 私ども会計業界においては、担当引継ぎは宿命のようなところがございます。ところが、お客様にとっては単に迷惑なだけ。「また担当替わるの?同じことをまた一から説明するの面倒くさいなぁ」ともっともなご意見、ずっと気心の知れた同じスタッフが担当できれば良いのですが…。
 そこで、担当替えに伴うお客様の手間を少しでも減らすために考えたのが、冒頭に紹介した「お客様カルテ・情報」というWeb上の顧客情報管理システムです。この中には、お客様と良好な関係を保ち続けるための重要なデータがぎっしり詰まっております。下記をご覧ください。

「お客様カルテ・情報」システムで管理している様々な顧客情報

企業様名、代表者、経理担当者、事業概要・現況、決算月、税務会計顧問契約の内容、アポイント方法、コミュニケーション上の注意点、預かり資料の取扱い、税金や会計に対する代表者の考え方、弊社に対する期待、月次チェック・決算処理のポイント、対応履歴・備忘記録、税務調査履歴、クレーム履歴etc

引継のストレスを解消

 ほんの数年前までは、担当引継ぎが発生すると、後任者は前任者から主に口頭で顧客情報を教えてもらい虎の巻を作成したり、2,3ヵ月間にわたり一緒になって会計データのチェック行う、決算申告を仕上げる、それでやっとのことお客様の内容が把握できる、という具合でした。
 ところが現在では、「お客様カルテ・情報」システムでの管理・活用により、口頭やペーパー上で伝えるより何十倍もの情報量をより正確に入手することが可能になりました。さらには、弊社独自の私書箱システム(第70号、第73号参照)に搭載されている、「質疑応答」機能からお客様と担当者のやり取りを確認することで関係性の良し悪しやお客様の性格が見えてきたり、「報告書」機能から過去の会計データ報告内容や税務相談の議事録を時系列に閲覧することで前任者がヒアリング・対応したことを再度聞き直すというストレスを回避できたり、と活用の幅は無限大です。「まだ担当して間もないのに、なんでそこまで知ってるの!」、とお客様に感じていただければ。

情報の鮮度が大切

 5年、10年、15年…と長期にわたりお付き合いをさせていただくお客様の情報は、会計事務所にとっては宝物なのです。ここで大切なことは、情報の中には不変的なものもあれば、常に新鮮でなくては意味を持たないものもあるということです。
 引継ぐ側が「お客様カルテ・情報」について決算終了後や担当替えといったタイミングで見直し最新情報を加筆することでより厚みを増し価値あるものに変化する。一方では、日々の業務を遂行する過程で自然に蓄積されていく私書箱システムの顧客情報が、鮮度を保つため有効に働き、より的確なお客様対応につながると信じております。
 安定した税務会計サービスを継続して行くためには、前号で取り上げた「人の管理」と今回の「お客様の管理」が両輪であり、どちらかが欠けても上手くいきません。いずれにせよ、一番頭の痛い、決して逃げることのできないテーマといえます。そして、試行錯誤の日々は、まだまだ続きそうです。

代表社員・税理士 佐藤 修一

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