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税理士コラム

「私たち(国民)の購入も消費税免除になりますか」2015年03月21日

2014年に日本を訪れた外国人旅行者は1300万人を超えました。外国人旅行者が日本滞在中に使った旅行消費額も2兆円を超えました。その内、買い物代が7000億円超と全体の35%を占めています。そして、外国人旅行者が輸出物品販売場を経営する事業者(以下、「免税店売り場」という。)から通常生活の用に供する物品を購入した場合には、消費税が免除されています。
昨年の10月からは、免税対象物品の範囲が拡大され、食品類、飲料類、薬品類、化粧品類、そのた消耗品についても外国人旅行者に対する同一店舗における一日の販売額の合計額が5千超50万円までの範囲内で免税の対象とされました。
今年も中華圏での旧正月に当たる「春節」の連休(2月18日から24日)には多くの中華圏旅行者が各地の免税店売り場で買い物をする光景が報道されました。
このように消費税の免税というと外国人旅行者だけが適用されると思いがちですが、私たちが同様に適用される場合があります。
ひとつは、「携行免税」です。
海外旅行等のため出国する者が、例えば、贈答用に供するものとして出国に際して携帯する物品を免税店売り場で購入したときには、免税店売り場が外国人旅行者に対して物品を譲渡した場合に準じて免税の規定が適用されます。
この適用を受けるためには次の要件を満たすことが必要です。
①譲渡に係る販売場が輸出物品販売場の許可を受けた販売場であること。
②譲渡に係る物品の1個当たりの対価の額が1万円を超えるものであること。
③出国する者が、渡航先において贈答用に供し帰国若しくは再入国に際して携帯しないものであること又は渡航先において2年以上使用し、若しくは消費するものであることを誓約した書類(海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書)を作成し、その誓約書を免税店売り場において保存すること。
④出国時に輸出したことにつき税関長が証明した輸出証明書の交付を受け、これを免税店売り場において保存すること。
ただし、消費税が免除された物品を携帯して出国した者が、免除された物品を携帯して帰国又は再入国した場合(当該物品を携帯して出国した時から2年を経過したものであるときを除く。)には、その物品について、他の法律により特に消費税を免除することとされているときを除き、消費税が課税されます。
(注1)

もうひとつの免税は、「保税地域内売店等の免税」です。
さきほどの携行免税と類似の免税制度で、保税地域内における店舗において海外旅行者等に販売する物品の免税制度が設けられています。
これは、保税蔵置場の許可を受けた者が、その経営する保税地域とき又は渡航先において当該課税資産を使用若しくは消費をすることが明らかなときは、その課税資産を保税蔵置場の許可を受けた者が輸出するものとして輸出免税等の規定が適用されます。
一般的には、国際空港内における免税売店等を出国の確認を受けた者が利用する場合などが該当します。
また、国際空港の国際線の航空機に搭乗する直前の乗客が利用する、いわゆる「サテライトショップ」は保税地域ではありませんが、サテライトショップでさきほどの乗客が購入した物品は、乗客により国外に持ち出されることが実態として明らかであることから、同様にこの販売が免税として取り扱われます。
(注2)

(注1)消費税基本通達7-2-20
(注2)消費税基本通達7-2-21

税理士 大柳 和二

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