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税理士コラム

設立・解散・清算時の手続き2015年07月21日

事業の形態は、大きく「法人」と「個人事業」に分かれます。

個人事業の場合は、特別な手続きをすることなく税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけで済みます。この届出書は開業等の事実が生じた日から1か月以内に提出するように定められています。その際によく質問されるのが、開業してから数か月過ぎている場合、提出期限を考えて開業日をずらした方がいいかということがありますが、罰則規定はありませんので実際の開業日を記載して提出して問題ありません。

法人の場合は、中小企業を設立する際の一般的な方法である発起設立においても、発起人による会社設立事項の決定、定款の作成設立登記、出資の履行などの手続きが必要になります。

また、法人には、その事業目的により様々な形態、状態があるため、税法においても法人の態様に応じて異なる取扱いを定めています。

例えば、設立・事業開始時の手続きに関しては、①内国普通法人の設立時②公益法人等及び人格のない社団等(内国法人)の納税義務が生じた時③外国普通法人の納税義務が生じた時など法人格の有無や種類によって異なり、解散・清算時の課税に関しては、法人の態様による違いに加え、解散・清算の時期によっても取扱いが大きく異なります。

今回は、法人(株式会社)の設立時における手続・提出書類・留意事項等について説明します。

設立時の提出書類

設立時等に必ず提出が必要な書類は「法人設立届出書」です。記載内容の詳細は省略しますが、①定款等の写し②設立の登記事項証明書③設立時の貸借対照表④株主名簿の写しを添付して設立の日以後2か月以内に提出します。

この場合の「設立の日」とは、株式会社は登記によって成立するため設立の登記の日(法務局への登記申請日)を指します。

また、「青色申告の承認申請書」など各種制度の適用を選択する場合はそれぞれの規定に従い提出することになります。

ただし、「給与支払事務所等の開設届出書」については、実務上、設立後当面の間給与支払いのない法人であっても「給与支払なし」と記載して提出するようにしています。

設立事業年度[1期目]

原則として、法人の登日から定款で定められた事業年度終了日までが設立事業年度となります。

例えば、事業年度を「4月1日から翌年3月31日まで」として、平成27年3月23日に設立すれば、平成27年3月23日から平成27年3月31日までの9日間が設立第1期事業年度となります。

例外としては、設立事業年度を平成27年3月23日から平成28年3月31日と定款で規定した場合には、事業年度が1年を超えてしまうので平成27年3月23日から平成28年3月22日までが設立第1期事業年度となり、平成28年3月23日から平成28年3月31日までが設立第2期事業年度となります。

法人設立中に支出した費用

法人の設立日が法務局への登記申請日と定められているため、法人の設立期間中に損益が発生します。一般的に、設立準備から法人の設立日までの間に支出する費用は創立費として、設立日から営業開始日までの間に支出する費用は開業費として計上されます。そして、この場合の損益については、設立後最初の事業年度の所得の計算に含めて申告することができます。
(法人税基本通達2-6-2)

ただし、例外が2例あります。例外1は、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合には、人格のない社団等の所得として別個に法人税の申告が必要となります。
例外2は、設立が個人事業を引き継いで行われる「法人成り」の場合には、法人が設立されるまでの間の損益は、すべて個人事業に帰属します。

ここでの留意事項は、設立第1期の事業年度開始の日はその設立登記のあった日ということになりますので、例えば、交際費等の損金算入限度額の計算の基礎となる期間や、設立期間中に取得し使用開始していても減価償却費の損金算入限度額を計算する場合の償却率の計算期間も、設立登記の日から計算することになります。

《続く》

税理士 大柳 和二

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